RESEARCH
植物が環境を察知する分子メカニズムの解明ーイネ・ダイズ・アワなど(横井)
植物はどうやって(何をどこで感じて)生長具合を把握するのか?
植物が経験した環境条件は記憶されるのか?
その記憶は次世代に遺伝されるのか?
•植物の生長速度や開花時期を人為的にコントロールしたり、異なる栽培地や時期に栽培できる可能性
•品種のブランド力を損なうことなく、新形質を付与することができる可能性
遠縁交雑と生殖隔離に関する研究 ー タバコ・トウガラシ・イネなど(手塚)
生殖隔離は動植物において共通にみられる現象であり、種と種を隔てるという進化学的に重要な役割を果たしています。しかし一方で、このような仕組みは植物育種を妨害する障壁ともなってしまいます。植物を遺伝的に改良するうえで、野生種は栽培種には存在しない有用な形質をもっていることが期待され、遺伝資源としてますます大きな注目を集めるようになっています。野生種がもっている有用形質を利用して新品種を育成する場合、安心・安全な技術として交雑育種が広く行われています。しかし、野生種等の近縁種や遠縁種と栽培種との間には生殖隔離が発達しているために、交雑育種が失敗し、野生種等がもつ有用形質を十分に活用することができていないのです。
生殖隔離は、交雑前に生じる障壁、交雑後の受精前に生じる障壁、受精後に生じる障壁に大きく分けることができ、これら3つの中にも様々なタイプの障壁が存在することが知られています。植物育種においては、交雑後に生じる障壁が特に大きな問題となることから、交雑後に生じる障壁について分子メカニズムを解明することを目指しています。得られた研究成果は、生殖隔離を回避・克服して交雑育種を成功させるための技術開発に活用します。
•これまでに利用することのできなかった野生種等の遺伝資源を利用した遠縁交雑が可能になり、育種の幅が広がる
•遺伝子の流れを防止する技術の開発につながる
•進化・種分化に関与する遺伝子を明らかにできる